「今年こそは、ブログを毎日更新するぞ」
「今年こそは、売上1000万を超えるぞ」
新年の高揚感とともに立てた目標。しかし、ゴールデンウィークの頃には「あれ、今年の目標なんだっけ?」と記憶すら曖昧になり、年末に自己嫌悪に陥る…。
もし心当たりがあるなら、それはあなたの「意志」が弱いからではありません。「計画の立て方」が間違っているだけです。
多くの人は、気合を入れて「完璧なスケジュール」を作ろうとします。1年間のロードマップを緻密に引き、全てのToDoを洗い出し、ガチガチに固める。
断言しますが、その「完璧な計画」こそが、挫折の最大の原因です。
僕たちフリーランスや忙しいビジネスパーソンの毎日は、予測不能なトラブルの連続です。ガチガチに固められた計画は、たった一つの変化で崩壊し、そのまま放置されてしまいます。
必要なのは、美術館に飾るような美しい計画表ではありません。
泥臭く、変化に強く、迷った時に道を示してくれる「生きた計画(コンパス)」です。
この記事では、僕が数々の挫折を経てたどり着いた「テーマ設定 × 3つの柱 × プロトタイプ計画」という手法を紹介します。
目標を単なる「お飾り」で終わらせず、12月31日に「やり切った!」と笑って一年を終えるための戦略です。

数値目標の前に「1年のテーマ」を決める
年間計画というと、すぐに「売上目標」や「件数」などの数値を決めたがりますが、ちょっと待ってください。
数値目標(ゴール)を決める前に、必ずやるべきことがあります。
それは、1年間の「テーマ」を決めることです。
テーマとは、迷った時の判断軸となる「スローガン」や「キーワード」のことです。「今年の漢字」のように一文字で決めてもいいですし、短いフレーズでも構いません。
なぜ、これが必要なのでしょうか?数値目標だけでは、手段を選ばなくなったり、本当に大切なことを見失ったりするからです。
例えば、「売上1,000万円」という目標だけを立てたとします。
すると、焦りから「単価の低い大量の案件」を受けてしまったり、「やりたくないジャンルの仕事」に手を出して消耗したりするリスクがあります。
結果、目標の数字は達成できたとしても、心身ともにボロボロになり、「何のために働いているんだっけ?」と虚無感に襲われることになります。
これでは本末転倒です。
だからこそ、数字の前に「自分はどうありたいか?」という方向性(テーマ)が必要なのです。
実例:2025年の反省から導き出したテーマ
具体例として、僕の恥ずかしい反省と、そこから導き出した2026年のテーマを公開します。
▼2025年の反省:生産性は上がったが、幸せにはならなかった
2025年、僕はObsidianやCursorなどの最新ツールを導入し、業務効率をめちゃくちゃ改善しました。
記事執筆のスピードは倍になり、タスク処理能力も飛躍的に向上しました。「これでもっと成果が出るはずだ」と確信していました。
しかし、年末に振り返ってみて愕然としました。
「投入時間を減らしても、得られる成果(満足度や売上の質)は大して変わっていない」という事実に直面したのです。
空いた時間でさらに別のタスクを詰め込み、常に何かに追われている感覚。
「量をこなすこと」自体が目的化し、一つひとつの仕事のクオリティや、顧客への提供価値に対するこだわりが薄れていました。
生産性という武器を手に入れた結果、僕はただの「高速でタスクを処理するマシーン」になりかけていたのです。
▼2026年のテーマ:『Less is Better(より少なく、しかしより良く)』
この反省を踏まえ、2026年のテーマは『Less is Better』に決めました。これは、「エッセンシャル思考」の核心にある考え方です。
「あれもこれも」と手を広げて薄く広くやるのではなく、「本当に重要なこと」だけにリソースを集中させ、圧倒的なクオリティ(質)で勝負する。
- 迷った時は、「これをやることで、他の何かを捨てることになるが、それでもやる価値があるか?」と自問する。
- 「量」で安心感を得ようとせず、「質」と向き合う勇気を持つ。
このテーマという「コンパス」があれば、もし目の前に「割のいい単発案件」が来たとしても、「それは『より良く』に繋がるか?」と問いかけることで、自信を持って「No」と言えるようになります。
あなたにとっての2026年は、どんな1年にしたいですか?
まずは手帳の最初のページに、あなただけの「テーマ」を大きく書き出してみてください。
あれもこれもやらない。目標は「3つの柱」に絞る
テーマが決まったら、次は具体的な目標設定です。
ここで多くの人が陥るのが、「やりたいことリスト(Wish List)」をそのまま目標にしてしまうというミスです。
- ブログで月30万稼ぐ
- YouTubeを始める
- 英語をマスターする
- ジムに通って腹筋を割る
- 毎月10冊本を読む
- …
こんな風に、あれもこれもと詰め込んでいませんか?断言しますが、これらを全て達成するのは不可能です。
私たちには、時間も体力も意志力も、限界があります。特に、本業で忙しい会社員の方や、全ての業務を一人でこなすフリーランスにとって、リソースは常に不足しています。
全てを追おうとすれば、リソースが分散し、結局どれも中途半端な結果に終わります。
エッセンシャル思考で「3つ」だけ選ぶ
では、どうすればいいのか?
答えはシンプルです。「絶対に達成したいこと」を3つだけ選び、それ以外は捨てる(後回しにする)ことです。
この「3つ」は、あなたの人生を支える「柱」となるものです。おすすめは、バランスよく配置することです。
| 柱の種類 | 定義 | 2026年の目標例 |
|---|---|---|
| 1. Work (仕事・事業) | 売上、新規事業、キャリアアップなど、経済的基盤を作るもの | ブログ「torif」の記事数を100本にし、月間PV〇〇万を達成する |
| 2. Skill (スキル・能力) | 資格取得、AI活用、語学など、将来の武器を磨くもの | 生成AI(Cursor/ChatGPT)を完全に業務フローに組み込み、作業時間を30%圧縮する |
| 3. Life (健康・趣味) | 家族との時間、運動、趣味の達成など、人生を豊かにするもの | ゴルフでコンスタントに90切りを達成する |
たったこれだけ?と思うかもしれません。
ですが、この3つを「圧倒的なクオリティ」で達成することの方が、10個の中途半端な目標を掲げるよりも、あなたの人生を確実に前に進めます。
選ばれなかった「英語」や「YouTube」はどうすればいいのでしょうか?
それらは「できたらいいなリスト(Wish List)」という別の箱に入れて、一旦忘れてください。3つの柱が達成できて、余裕ができたら手を付ければいいのです。まずは3つに全集中です。
[内部リンク:仕事を減らす勇気|フリーランスが「年収」と「自由」を同時に増やすための『選抜』技術]
「完璧な計画」はいらない。作るべきは「プロトタイプ計画」
3つの柱が決まったら、いよいよ計画表を作ります。ここでも重要なのは、「最初から1年分の詳細な計画を立てない」ことです。
「えっ、年間計画の記事なのに?」と思うかもしれませんが、これには明確な理由があります。
1年後の状況なんて、誰にも予測できないからです。
今の時点で「12月の2週目にこの記事を書く」と決めても、その頃には市場が変わっているかもしれないし、あなた自身がブログに飽きているかもしれません。
予測できない未来に対して緻密な計画を立てるのは、時間の無駄であり、変更を強いられた時のストレスの原因になります。
そこでおすすめなのが、アジャイル開発のように走りながら修正していく「プロトタイプ(試作)計画法」です。
1. 計画は「予想図」ではなく「仮説」と割り切る
まず考え方を変えましょう。
計画とは、一度決めたら死守すべき「ノルマ」ではありません。「こうすればうまくいくはずだ」という現時点での「仮説」に過ぎません。
やってみて違ったら、書き直せばいいのです。
「計画通りにいかない=失敗」ではなく、「計画通りにいかない=データが取れた(計画を修正するチャンス)」と捉えてください。
2. Step1 「3ヶ月ごとのマイルストーン」だけ置く
1年先のアクションは見えませんが、3ヶ月後の「あるべき姿」ならイメージできるはずです。カレンダーや手帳に、四半期(3ヶ月)ごとの「状態目標」だけを書き込みます。
▼ブログ目標のマイルストーン例
| 期間 | フェーズ | 状態目標(あるべき姿) | 具体的なアクション方針 |
|---|---|---|---|
| 1Q(1〜3月) | 種まき期 | ブログに30記事が入っている状態 (アクセス数は気にしない) | とにかく「書く」習慣を作る。 質より量を優先する。 |
| 2Q(4〜6月) | 水やり期 | 30記事のリライトが完了している 検索順位がつき始める | 書いた記事を見直す。 Googleサーチコンソールと向き合う。 |
| 3Q(7〜9月) | 収穫期 | 月1万円の収益が発生している | 収益記事(キラーページ)への導線を強化する。 アフィリエイトリンクを最適化する。 |
| 4Q(10〜12月) | 拡大期 | 月5万円が安定している 新ジャンルの展開準備 | 成功パターンを横展開する。 外注化を検討する。 |
このように、大まかな「フェーズ」と「到達地点」だけを定義します。これなら、途中で状況が変わっても、四半期ごとに軌道修正が可能です。
3. Step2 具体的なアクションは「直近1ヶ月」に全集中する
遠くの景色(1年後)はぼんやりでいいですが、足元(今月)は石ころひとつまで見るくらい具体化します。
- 「今月はブログを10記事書く」
- 「そのために、毎週日曜日に構成案を3本作る」
- 「平日の朝1時間は執筆にあてる」
ここまで具体化して初めて、計画は「実行」に移されます。
そして、月末に「月次レビュー」を行い、達成度を確認したら、また翌月の詳細計画を立てる。これを毎月繰り返していく「ローリング方式」が、最も挫折しにくい計画の運用方法です。

計画を「絵に描いた餅」にしないための仕組み
どんなに素晴らしい計画も、実行されなければ意味がありません。ここでは、計画を日々の行動に落とし込むための2つの仕組みを紹介します。
1. 年間目標を「週次計画」に落とし込む
年間計画が失敗する最大の理由は、「日々のToDoリスト」と「年間目標」が分断されているからです。
目の前の緊急タスク(メール返信、納期対応)に追われているうちに、1日が終わり、1週間が終わる。
気がつけば、「ブログを書く(第2象限)」時間が一度も取れないまま1ヶ月が過ぎてしまう。これが典型的な失敗パターンです。
これを防ぐ唯一の方法は、「週次計画」の中に、強制的に目標達成のための時間をブロックすることです。
- 毎週日曜日の夜、手帳を開く。
- まずは「3つの柱」に関連するタスク(ブログ執筆、勉強など)を先にスケジュールに入れる。
- 残った時間で、その他のタスクを入れる。
「時間ができたらやる」のではなく、「先に時間を確保する」。この優先順位の逆転こそが、夢を実現するための鍵です。

2. Obsidianで「年次ノート」を作る
もう一つのコツは、目標を「常に視界に入れる」ことです。
手帳の最初のページに書くのもいいですが、デジタル派の人はObsidianなどのノートアプリを活用しましょう。
僕は、Obsidianのホーム画面(常に開いているノート)に、その年の「テーマ」と「3つの柱」をデカデカと表示させています。
さらに、毎日書く「デイリーノート」のテンプレートにも、今年の目標を自動的に表示させるようにしています。
人間は忘れる生き物です。「毎日、目標を目にする」という単純な仕組みを作るだけで、無意識のうちに行動が変わっていきます。
Obsidianについては下記の記事で詳しく紹介しています。のであわせて読んでみてください。

年間計画に関するよくある質問(FAQ)
まとめ:未来は「今の積み重ね」でしか変わらない
壮大な年間計画を立てると、つい遠くの未来ばかり見てしまいます。
しかし、未来を変えることができるのは、「今日、何をしたか」だけです。
100回の「やりたい」という願望よりも、たった1回の「やった」という行動が、あなたを理想の未来へと近づけます。
さあ、お気に入りのノートとペンを用意して、2026年の「テーマ」を書き出してみてください。あなただけのコンパスを持って、最高の一歩を踏み出しましょう。
