「最近よく聞くObsidianって、何がすごいの?」「NotionやEvernoteと何が違うの?」
そんな疑問を抱えていませんか?
Obsidianは、単なるメモアプリではありません。それは、あなたの思考を繋げ、育て、未来の自分を助ける「第二の脳」を構築するためのツールです。
この記事では、Obsidianの基本的な使い方から、他のツールとの決定的な違い、そして僕自身がAIと連携させ、仕事の生産性を劇的に向上させたリアルな活用法まで、どこよりも深く、そして分かりやすく解説します。
結論:Obsidianは「メモアプリ」ではなく「思考を育てる庭」である
この記事の結論からお伝えします。Obsidianは、NotionやEvernoteのような、情報をきれいに整理・保管しておくための「メモアプリ」とは思想が根本的に異なります。
Obsidianは、あなたの頭の中に生まれた無数のアイデアや知識という「種」を植え、それらが互いに繋がり、予期せぬ形で成長していく「思考を育てる庭」です。
多くの人が知的生産の世界で感じている「クラウドサービスの終了リスク」や「プラットフォームへの依存」といった不安。Obsidianは、それらからあなたを解放し、生涯にわたって安心して思考を育み続けられる環境を提供してくれます。
Notionが誰かと共有するための「美しい本棚」だとしたら、Obsidianは自分自身と深く向き合うための「静かな書斎」なのです。この記事を最後まで読めば、その意味がきっとわかるはずです。
Obsidianの基本情報:知っておきたい背景
Obsidianの核心に触れる前に、このツールがどのような背景から生まれたのかを簡潔に紹介します。この思想を知ることで、なぜ多くの知識労働者が熱狂するのか、その理由が見えてきます。
Obsidianは、2020年にErica Xu氏とShida Li氏という二人の開発者によって作られた、比較的新しいツールです。
彼らの目的は、ユーザーが自身のデータを完全に所有し、特定のプラットフォームに縛られることなく、生涯にわたって思考を蓄積・活用できる「第二の脳」を作ることでした。
Durable
We believe that your data should be future-proof and easily accessible, no matter where you are. That’s why we use simple, open file formats that prevent lock-in and ensure that your data can be preserved for generations to come.引用:About – Obsidian
※日本語訳
耐久性
私たちは、お客様のデータは将来にわたって使い続けられるものであり、どこにいても簡単にアクセスできるものでなければならないと考えています。そのため、シンプルでオープンなファイル形式を採用することで、データのロックインを防ぎ、お客様のデータが未来の世代にも確実に保存されるよう努めています。
この「データ所有権」と「永続性」という思想が、サービスの終了や仕様変更に常に怯えなければならないクラウド中心の時代において、多くのユーザーから熱狂的に支持されているのです。
While it is not a metadata management system in the traditional sense, the use of Markdown syntax, bi-directional linking, graph views, tags, and YAML front matter make it a powerful tool for building and organizing a customized, structured knowledge base. Obsidian stores all files, or “notes,” in markdown on the user’s device. A key feature of Obsidian is the creation and management of these notes, which can be interconnected with links. This has been a useful
引用:The Code4Lib Journal – From Notes to Networks: Using Obsidian to Teach Metadata and Linked Data
※日本語訳
Obsidianは従来の意味でのメタデータ管理システムではありませんが、Markdown構文、双方向リンク、グラフビュー、タグ、YAMLフロントマターの使用により、カスタマイズされた構造化されたナレッジベースを構築・整理するための強力なツールとなっています。Obsidianは、すべてのファイル(「ノート」)をユーザーのデバイスにMarkdown形式で保存します。Obsidianの重要な機能は、これらのノートの作成と管理であり、リンクで相互接続できます。
そもそもObsidianとは?4つの核心的特徴
ObsidianをObsidianたらしめている、他のツールにはない4つの核心的な特徴を解説します。
これらの特徴が組み合わさることで、Obsidianは単なるメモツールを超えた「思考ツール」へと昇華します。
特徴1:完全ローカル管理 – あなたの思考は、あなたのもの
Obsidianの最大の特徴は、データがすべてあなたのPCやスマートフォンの中の、ただのフォルダ(保管庫)に保存されることです。(↓フォルダで開くとこんな感じです)

これは、データが企業のサーバー上にあるNotionやEvernoteといったクラウド型ツールとの決定的な違いです。
これにより、インターネット接続がない場所でもサクサク動作し、サービスが終了しようと仕様が変更されようと、あなたの思考の記録が失われることはありません。
あなたの「脳」の所有権は、未来永劫あなた自身にある。この絶対的な安心感が、Obsidianの根幹を支えています。
特徴2:マークダウン形式 – 究極のポータビリティ
Obsidianで書かれるノートは、すべて「.md」という拡張子の、ごく普通のテキストファイルです。
これは「マークダウン」という、世界中のエンジニアやライターが愛用するシンプルな記法で書かれています。特定のアプリでしか開けない独自形式ではないため、極端な話、100年後でもどんなテキストエディタでも開くことができます。
あなたの思考が、特定の企業のフォーマットに人質に取られることはありません。この究極のポータビリティ(可搬性)こそが、生涯にわたる知的生産のパートナーとして、Obsidianが信頼される理由です。
特徴3:双方向リンク – アイデアがつながり育っていく感覚
これこそがObsidianの心臓部です。Obsidianでは、[[ページ名]]と入力するだけで、ノート同士を簡単にリンクさせることができます。
すごいのは、リンク先のページにも「このページからリンクされていますよ」というつながりが自動で記録されること(バックリンク)。これにより、あなたのノートは脳の神経細胞(ニューロン)のように相互に結びつき、予期せぬ化学反応を起こし始めます。
グラフビュー機能を使えば、その思考の繋がりを視覚的に眺めることができ、過去の自分が書いた何気ないメモが、今の自分の悩みを解決するヒントになる、といった偶然の発見(セレンディピティ)を日常的に体験できるようになります。

特徴4:無限の拡張性 – コミュニティプラグインで「自分だけのツール」に育てる
Obsidianはそのままでも強力ですが、「コミュニティプラグイン」によって真価を発揮します。
これは、世界中の有志の開発者が作成した拡張機能のことで、Google Chromeの拡張機能のように、自分の好きな機能を追加してObsidianを無限にカスタマイズできます。
僕はもともと何でも形から入る性格なので、まずこのプラグインを使ってデザインを自分好みにカスタマイズすることから始めました。
見出しのフォント、色、行間などを細かく調整し、毎日開くのが楽しみになるような「自分だけの書斎」を作り上げたことが、僕がObsidianに完全にハマった大きな理由の一つです。

【比較】Notion・Evernoteと何が違う?
Obsidianのユニークさを理解するために、多くの人が比較対象として挙げるNotionとEvernoteとの違いを、単なる機能比較ではなく「思想」のレベルで解説します。
Notion vs Obsidian:「美しく見せる」か「深く考える」か
Notionは、情報を整理し、チームで共有し、美しく見せることに長けた、パワフルな「デジタルな雑誌」のようなツールです。
しかし、僕自身は過去に一度Notionを試したものの、結局ハマることはありませんでした。
多機能すぎて何をすればいいか分からず、フリーランスの自分には不要なチーム機能も多かったのです。何より、思考を書き出す際のテキスト入力の感覚に、ほんの少しの違和感がありました。
この体験を通して、僕は両者の思想の違いを痛感しました。
【表1:NotionとObsidianの思想比較】
| 観点 | Notion | Obsidian | 
|---|---|---|
| データの場所 | クラウド(他人のPC) | ローカル(自分のPC) | 
| 主な目的 | 情報の共有・整理・公開 | 個人の思考の深化・連携 | 
| UIの思想 | 誰でも使えるブロックエディタ | 思考を止めないマークダウン | 
| 比喩 | チームで作る「雑誌」 | 自分だけの「研究ノート」 | 
Evernote vs Obsidian:「記録する」か「育てる」か
Evernoteは、僕にとって長年の相棒でした。WebクリップやPDFの保存など、情報を手軽に放り込んでおく「デジタルキャビネット」としては、今でも最高のツールの一つです。
かつて僕はEvernoteの有料プランを契約し、思考の整理や仕事の企画メモなど、まさに「第二の脳」として活用していました。しかし、Obsidianに出会い、その役割は完全に終わりました。
なぜなら、Obsidianが情報の「記録」だけでなく、それらをつなげて新たな気づきを生む「育成」の機能を持っていたからです。
特に、AI(Cursor)との連携を考えた時、僕の思考の記録が、特定のプラットフォームに依存しないプレーンなテキストファイルとして蓄積されていくObsidianの方が、将来的に「資産」になると確信しました。これが、僕がEvernoteの課金を辞め、完全にObsidianに乗り換えた決定的な理由です。
※ちなみにこれまでの僕のEvernoteの活用方法
- 基本的にどんなToDoでもまずはEvernoteに新しいノートを作るところから始まる
- SEOコンサルタントとしてクライアントのサイトを分析したり、施策を考えたり
 - 例えば施策を考えるときには、前提を整理して解決する課題を明確にし、具体的な施策に落とし込む
 - この最初の流れを誰にも見せない0次アウトプット(ラフ案)としてEvernoteで整理する
 - その後、GoogleドキュメントやGoogleスライド、スプレッドシートなどにまとめてクライアントに提出する流れ
 
 - あとは内省にもEvernoteを活用
- 週次の振り返り
 - 毎日ではないが、気になったこと学び、気付きなど考えたことをメモ帳としてノートを残す
 
 
僕が実践するObsidianで人生が変わった「3つの進化」
僕は普段、フリーランスのSEOコンサルタントとして働いています。(プロフィールはこちら)
ここからは、そんな僕がObsidianを使い始めてから、仕事の生産性、ひいては人生そのものがどう変わっていったのか、そのリアルな「3つの進化」の物語をお話しします。
Evolution 1: 「記録」から「内省」へ – 自己採点システムによる生産性革命
Obsidianを使い始めて、僕が最初に取り組んだのが「デイリーノート」でした。しかし、それは当初、ただの業務日誌にすぎませんでした。
転機が訪れたのは、ノートの最後に「今日の点数」をつけ始めたことです。これがきっかけとなり、僕は自分自身と深く向き合うことになります。
「どうすれば100点を取れるのか?」——その問いから生まれたのが、僕の生産性を劇的に変えた「自己採点システム」でした。
これは、朝に「松竹梅」でタスクを設定し、夜にその達成度を採点・分析するというシンプルなものですが、効果は絶大でした。ただの日記が、自分を客観視し、改善するための最強のツールに進化したのです。
このシステムの詳細と、それによって僕の生産性がどう爆上がりしたかについては、別の記事で全てを語っています。


Evolution 2: 「一人」から「二人三脚」へ – AIとの対話で思考を加速させる
フリーランスの思考は、時に孤独です。しかし、Obsidianはその孤独さえも解消してくれました。AIアシスタントであるCursorとの連携によって。
Obsidianのノートは、ただのマークダウンファイルです。
僕は、この記事の企画のように、壁打ちしたいテーマに関するObsidianのファイルをCursorにコンテキストとして渡します。すると、Cursorは単なる「回答生成機」ではなく、僕の過去の思考や文脈をすべて理解した、最高の「思考パートナー」へと進化するのです。
この「二人三脚」の思考プロセスを手に入れてから、僕のアイデアが形になるスピードは、文字通り爆発的に加速しました。一人では決して辿り着けなかったであろう、深い洞察に満ちた結論へと、AIが導いてくれるのです。

Evolution 3: 「過去」から「未来」へ – 週次レビューで次の行動をデザインする
そして、Obsidianがもたらした最大の進化は、「過去の記録」が「未来の設計図」に変わったことです。
毎週、僕は1週間分のデイリーノートをCursorくんにに読み込んでもらい、客観的なフィードバックを求める「週次レビュー」を行っています。
Cursorくんは、僕自身でさえ気づいていなかった行動パターンや思考の癖を、冷徹なまでに、しかし愛を持って指摘してくれます。
「いっぺいさん、今週も『完璧主義』が再発していますね」
「『休日のパフォーマンス低下』が、3週連続で課題になっています」
こうした客観的な指摘があるからこそ、僕は次の1週間の行動計画をより具体的に、より効果的にデザインできるのです。過去の点数や反省が、未来の自分を成長させるための、最高の燃料に変わる瞬間です。
挫折しない!Obsidianの始め方 5ステップ
「面白そうだけど、なんだか難しそう…」と感じたあなたへ。ご安心ください。
Obsidianの基本的な使い方は驚くほどシンプルです。ここでは、あなたが挫折することなく「第二の脳」作りの第一歩を踏み出すための、最短の5ステップを紹介します。
ステップ1:ダウンロードとインストール
まずは公式サイト(https://obsidian.md/)から、お使いのOS(Mac or Windows)に合ったアプリをダウンロードし、インストールしましょう。数クリックで完了します。

ステップ2:最初の「保管庫(Vault)」を作る
次に、Obsidianを起動し、「保管庫(Vault)」を新規作成します。難しく考える必要はありません。
これは、あなたの思考の記録が保存される、ただの「フォルダ」です。後からiCloudやGoogle Driveなどで同期することも可能なので、まずはPCの分かりやすい場所(デスクトップなど)に作成してみましょう。
ステップ3:最初の1ページ「デイリーノート」を作ってみる
保管庫ができたら、いよいよ最初のノートを作成します。
左側のメニューにあるカレンダーアイコン、あるいはコマンドパレット(Macなら Cmd+P)から「デイリーノート」を開いてみてください。今日の日付のノートが自動で作成されます。
そこに、まず一行、何でもいいので今日の出来事や感じたことを書き込んでみましょう。これが、あなたの「第二の脳」の、記念すべき最初の記憶です。
ステップ4:2つのページをリンクさせてみる
次に、Obsidianの魔法を体験してみましょう。
デイリーノートの中に、[[新しいアイデア]]と入力してみてください。その文字がリンクに変わりましたね?そのリンクをクリックすれば、「新しいアイデア」という名前の新しいページが自動で作成されます。
これが「双方向リンク」の第一歩です。あなたの思考が、初めてつながった瞬間です。
ステップ5:絶対に入れるべき、おすすめ初期プラグイン3選
最後に、Obsidianをさらに使いやすくするための「コミュニティプラグイン」を3つだけ紹介します。プラグインは無数にありますが、最初はこの3つだけで十分です。設定画面の「コミュニティプラグイン」から、以下の名前で検索してインストールしてみてください。
- Japanese tokenizer: 日本語の文章を単語単位で正しく認識させ、検索精度を向上させるための必須プラグインです。
 - Calendar: デイリーノートをカレンダー形式で表示・管理し、過去の記録へ簡単にアクセスできるようになります。
 - Style Settings: 僕がデザインをカスタマイズしたように、あなたが使っているテーマのフォントや色を、プログラミング知識なしで直感的に調整できるようになります。
 
よくある質問(Q&A)
- スマートフォンでも使えますか?
 - 
はい、使えます。iPhone、Androidともに公式アプリがあり、PC版とほぼ同じ機能が利用可能です。iCloud Driveなどを使えば、PCとスマートフォンの間でノートを自動的に同期することもできます。
 - 料金はかかりますか?
 - 
いいえ、個人利用の範囲であれば、すべての基本機能を完全に無料で利用できます。チームでの利用や、Obsidian独自の同期・公開サービスを使いたい場合にのみ、有料プランが必要になります。
 - データが消えたりしませんか?
 - 
Obsidianのデータは、あなたのPC上のただのフォルダに保存されているため、Obsidianというアプリがなくなったとしても、データ(テキストファイル)が消えることはありません。iCloudやGoogle Drive、あるいはDropboxなどで定期的にバックアップを取っておけば、PCが故障した場合でも安心です。
 - NotionやEvernoteから移行できますか?
 - 
はい、可能です。Obsidianには、Evernoteからの移行ツールが公式で用意されています。Notionからも、ページをマークダウン形式でエクスポートすることで、比較的簡単にデータを移行することができます。
 
まとめ:さあ、あなたの「第二の脳」を育て始めよう
Obsidianは、最初は少し不親切に感じるかもしれません。Notionのように、手取り足取り使い方を教えてはくれません。
しかし、それはあなた自身の思考に合わせて、無限に形を変えることができる「粘土」のようなツールだからです。決まった使い方がないからこそ、あなただけの、唯一無二の「第二の脳」を育てていくことができるのです。
この記事で紹介した僕の使い方は、あくまで一例にすぎません。
まずは公式サイトからアプリをダウンロードし、今日のデイリーノートに、この記事の感想を一行だけ書いてみてください。
そこから、あなたの新しい知的生産の冒険が始まります。


			
			
			
			
			
			
			
コメント