テクニカルSEOとは?初心者が最初にやるべき対策を重要度別に解説

「テクニカルSEOって難しそう…」「チェックリストは見るけど、何から手をつければいいか分からない」と感じていませんか?

テクニカルSEOは、Webサイトという「家」の土台を整える活動です。

どれだけ素敵な家具(コンテンツ)を用意しても、土地(サーバー)が不安定だったり、そもそも住所(インデックス)がなければ誰も訪れることはできません。

この記事を読めば、専門知識がなくても「まず何をすべきか」が明確になり、サイト改善の最初の一歩を踏み出せます。

目次

そもそもテクニカルSEOとは?

テクニカルSEOを一言でいうと

テクニカルSEOとは、「検索エンジンがサイトの情報を正しく、そして効率的に読み取れるように、Webサイトの技術的な基盤を最適化すること」です。

検索エンジンは「クローラー」と呼ばれるロボットを世界中のWebサイトに巡回させ、情報を収集・整理してデータベース(インデックス)に登録します。ユーザーが検索した際に、そのデータベースから最も適した情報をランキング形式で表示するのが検索結果です。

テクニカルSEOは、この「クロール」と「インデックス」のプロセスをスムーズにし、「このサイトは構造がしっかりしていて、ユーザーが快適に使える安全なサイトですよ」とGoogleに伝えるための施策全般を指します。

コンテンツSEO・外部SEOとの関係性

SEOは大きく3つの要素に分解できます。テクニカルSEOが「土台」、コンテンツSEOが「中身」、外部SEOが「評判」と考えると、それぞれの役割が分かりやすくなります。

要素役割具体的な施策例
テクニカルSEOサイトの土台XMLサイトマップ送信、SSL化、表示速度改善
コンテンツSEOサイトの中身キーワード選定、高品質な記事作成
外部SEOサイトの評判関連性の高いサイトからの被リンク獲得

どれか一つだけを頑張っても、SEOで成果を出すのは困難です。強固な土台(テクニカルSEO)の上に、価値ある中身(コンテンツSEO)を作り、多くの人から良い評判(外部SEO)を得る。この3つが三位一体となって初めて、サイトはGoogleから正当な評価を受けられるのです。

「SEO」の全体像について下記の記事で説明しています。

なぜテクニカルSEOが重要なのか?

テクニカルSEOが重要な理由は、大きく2つあります。

1つ目は、コンテンツの価値を100%伝えるためです。

どんなに素晴らしい記事を書いても、Googleのクローラーがそのページを見つけられなかったり、内容を正しく理解できなかったりすれば、評価の土俵にすら上がれません。テクニカルSEOは、コンテンツが持つ本来の価値を、検索エンジンに余すことなく伝えるための前提条件なのです。

2つ目は、ユーザー体験(UX)の向上に直結するからです。

ページの表示速度が速い、スマホで快適に閲覧できる、サイト構造が分かりやすいといった要素は、Googleがランキングを決定する上で重視する指標です。ユーザーにとって使いやすいサイトを作ることは、結果的にGoogleからの評価を高めることにもつながります。

【特に重要】データベース型サイトで成否を分けるテクニカルSEO

Webサイトは、手動で記事を1本ずつ作成・公開していくブログのような「記事型メディア」と、不動産情報やECサイトの商品情報のように、データをもとにページが自動で大量に生成される「データベース型メディア」に大別できます。

そして、テクニカルSEOの重要度が特に高まるのが、後者の「データベース型サイト」です。

データベース型サイトは、構造上、どうしてもURLや内容が似通ったページが大量に生まれやすくなります。例えば、アパレルECサイトで「Tシャツ」のページ一覧を「色」で絞り込んだURLと、「サイズ」で絞り込んだURLでは、表示される商品が一部重複するでしょう。

このようなサイトでテクニカルSEOの設定を誤ると、Googleから「同じような内容のページばかりを大量に持つ、品質の低いサイト」とみなされてしまう危険性があります。これは「重複コンテンツ」と呼ばれ、サイト全体の評価を大きく下げる原因となります。

不動産ポータル、ECサイト、求人サイト、口コミサイトといった、何万、何十万ページにも及ぶ大規模なデータベース型サイトにとって、サイトの設計段階からテクニカルSEOを適切に行うことは、事業の成否を分けるほど重要なのです。

有名なデータベース型メディアの例
– 食べログ(https://tabelog.com/
– SUUMO(https://www.suumocounter.jp/
– Amazon(https://www.amazon.co.jp/
– Indeed(https://jp.indeed.com/
– Reddit(https://www.reddit.com/

ちなみに余談ですが…
サイトの規模が大きければ、「記事型メディア」「データベース型メディア」と明確に区別することができません。どちらの要素が強いなどの強弱はありますが、上記の例のような規模の大きなサイトは、基本的にどちらの要素も持っています。

【診断リスト】レベル1:【最重要】これがないと始らない「土台」の5項目

ここからは、具体的なテクニカルSEOの対策項目を重要度順に3つのレベルに分けて紹介します。

何から手をつけるべきか迷ったら、まずはこの「レベル1」の5項目から確認してみてください。これらはサイトが検索エンジンに評価されるための、まさに「土台」となる部分です。

1. インデックス登録状況の確認
2. XMLサイトマップの送信
3. robots.txtの適切な設定
4. サイトの常時SSL化(HTTPS)
5. モバイルフレンドリー対応

1. インデックス登録状況の確認

サイトを公開した後に、まず真っ先に確認すべきなのが「インデックス登録状況」です。

これは、あなたのサイトやサイト内の各ページが、Googleのデータベースに正しく登録されているかを確認する作業を指します。

もしサイトがインデックスされていなければ、それはインターネット上に存在しないのと同じこと。ユーザーがどんなキーワードで検索しても、あなたのサイトが検索結果に表示されることはありません。

この確認作業は、Googleが提供する無料ツール「Googleサーチコンソール」で行います。

引用:Google Search Console

サーチコンソールの「インデックス作成」メニュー内にある「ページ」レポートを開くと、「インデックス登録済みのページ」と「インデックスに登録されなかったページ」の数が表示されます。

サイトを公開してしばらく経っても「インデックス登録済みのページ」が0のまま、あるいは極端に少ない場合は、何らかの問題が発生しているサインです。

よくある原因としては、後述するXMLサイトマップが送信されていなかったり、robots.txtによってサイト全体がブロックされていたり、あるいはサイトにペナルティが課されている可能性も考えられます。

逆に、「インデックスに登録されなかったページ」の内訳を見ることも重要です。「クロール済み – インデックス未登録」や「検出 – インデックス未登録」といったステータスが大量に表示されている場合、それはGoogleがクロールはしたものの、品質が低い、あるいは他ページと内容が重複しているため、インデックスする価値がないと判断したことを意味します。

このように、インデックス登録状況はサイトの健康状態を示す最も基本的なバロメーターであり、テクニカルSEOの全ての施策の出発点となるのです。

2. XMLサイトマップの送信

XMLサイトマップとは、サイト内にどのようなページが存在するのかを一覧で記述した「サイトの設計図」のようなファイルです。

このファイルをGoogleサーチコンソール経由でGoogleに送信することで、クローラーはあなたのサイトの全体像を素早く、そして正確に把握できるようになります。

特に、サイトの規模が大きい、公開したばかりで外部リンクが少ない、あるいはサイトの内部リンク構造が複雑といった場合に、XMLサイトマップは極めて有効です。

クローラーがまだ発見できていないページや、階層の深い場所にあるページであっても、サイトマップがあれば漏れなくその存在を伝え、クロールを促すことができます。

XMLサイトマップの作成は、WordPressであれば「XML Sitemaps」や「All in One SEO」といったプラグインを使えば、記事を公開・更新するたびに自動で生成・更新してくれるため非常に簡単です。

作成されたサイトマップ(通常は sitemap.xml というファイル名)は、サーチコンソールの「サイトマップ」メニューからURLを送信するだけで登録が完了します。

送信後は、必ずステータスを確認しましょう。「成功しました」と表示されていれば問題ありませんが、「取得できませんでした」や「エラー」が表示されている場合は、ファイルパスが間違っていたり、ファイル形式に問題があったりする可能性があります。

また、サイトマップを送信することは、あくまでGoogleにページの存在を知らせる手段であり、インデックスを保証するものではない点も理解しておく必要があります。

しかし、サイトの情報を正確に伝えるというテクニカルSEOの基本に立ち返れば、XMLサイトマップの送信は、サイト運営者が必ず行うべきGoogleとの重要なコミュニケーションの一つなのです。

3. robots.txtの適切な設定

「robots.txt」(ロボッツテキスト)とは、サイト内を巡回するクローラーの動きを制御するためのファイルです。

このファイルを使うことで、サイト運営者はGoogleに対して「このディレクトリ(フォルダ)には入らないでください」「このファイルにはアクセスしないでください」といった指示を出すことができます。

例えば、ユーザーの個人情報を含むマイページや、サイト内検索の結果ページ、テスト用にアップロードしただけの未完成なページなど、検索結果に表示させる必要がない、あるいは表示させたくないページへのクロールを意図的にブロックするために利用されます。

これにより、Googleの限られたクロールリソースを、本当に評価してほしい重要なページに集中させる効果も期待できます。

しかし、その影響力が大きい分、設定には注意が必要です。

記述方法を一行でも間違えると、意図せずサイト全体や、重要なカテゴリページ全体へのクロールをブロックしてしまう危険性があります。

もしそうなってしまった場合、ブロックされたページはGoogleのデータベースから削除され、検索結果に一切表示されなくなってしまいます。

robots.txtはサーバーのルートディレクトリ(一番上の階層)に設置するのがルールです。

設置した後は、必ずGoogleサーチコンソールの「クロールの設定」内にあるrobots.txtテスターを使い、重要なページのURLがブロックされていないか、逆にブロックしたいURLが正しくブロックされているかを確認する習慣をつけましょう。

意図を正しく理解し、慎重に扱うことができれば、robots.txtはテクニカルSEOの強力な武器となります。

robots.txtについてさらに詳しく説明した記事もあるので、合わせて読んでみてください。

4. サイトの常時SSL化(HTTPS)

サイトの常時SSL化とは、サイト全体の通信を暗号化することです。URLがhttp://からhttps://で始まるようになります。

SSL化されたサイトでは、ユーザーが入力フォームに打ち込んだ個人情報やクレジットカード番号などがすべて暗号化されてサーバーに送信されるため、第三者によるデータの盗聴や改ざんのリスクを大幅に低減できます。

Googleは、すべてのユーザーに安全なブラウジング体験を提供することを目指しており、2014年にはSSL化を検索ランキングの要因に使用することを公式に発表しました。

現在では、主要なブラウザ(Google Chromeなど)でSSL化されていないサイトにアクセスすると、「保護されていない通信」といった警告が表示されるようになっています。

このような警告はユーザーに不安を与え、サイトからの離脱につながるだけでなく、ブランドイメージの低下にも直結します。

もはや、常時SSL化はSEOの観点だけでなく、ユーザーからの信頼を獲得し、安心してサイトを利用してもらうための最低限のマナーと言えるでしょう。

SSL化の状況は、ブラウザのアドレスバーを見れば一目で分かります。URLの先頭に鍵マークが表示されていれば、そのサイトは正しくSSL化されています。

もし鍵マークが表示されていなかったり、警告メッセージが出ていたりする場合は、早急な対応が必要。最近では、多くのレンタルサーバーで無料のSSL証明書が提供されており、比較的簡単に設定できるようになっています。

まだ対応が済んでいない場合は、利用しているサーバー会社のサポートページなどを確認し、必ず設定を行いましょう。

5. モバイルフレンドリー対応

モバイルフレンドリー対応とは、スマートフォンやタブレットといったモバイル端末でサイトを閲覧した際に、ユーザーがストレスなく快適に利用できる状態に最適化することです。

具体的には、文字が小さすぎてピンチアウト(指で拡大)しないと読めない、タップするボタン同士が近すぎて押し間違える、といったことがないようにサイトを設計することを指します。

今や、BtoC、BtoBを問わず、多くのWebサイトでアクセスの半数以上がモバイル端末経由となっています。

このような状況を受け、GoogleはPCサイトではなく、モバイルサイトの内容を基準にページの評価を決定する「モバイルファーストインデックス」へと完全に移行しました。

つまり、PCサイトのデザインがどれだけ優れていても、モバイルサイトが使いづらければ、Googleからの評価は低くなってしまうのです。

自社のサイトがモバイルフレンドリーに対応できているかは、Googleが公式に提供している「モバイルフレンドリー テスト」ツールを使えば、誰でも簡単に確認できます。

サイトのURLを入力するだけで、問題があるかどうかを瞬時に判定してくれます。

もし「このページはモバイル フレンドリーではありません」と表示された場合は、指摘された問題点(テキストが小さすぎる、クリック可能な要素が近すぎるなど)を改善する必要があります。

特に、古いWebサイトや更新が止まっているサイトでは、モバイル対応が不十分なケースが多く見られます。

ユーザーの利便性を高め、検索エンジンからの正当な評価を得るために、モバイルフレンドリー対応は必須の施策です。

【診断リスト】レベル2:【推奨】サイトの価値を正しく伝える8項目

レベル1の土台が整ったら、次はサイトの価値をより正確にGoogleへ伝えるためのステップに進みます。

ここで紹介する8項目は、ユーザー体験の向上と、クローラーのサイト理解を助ける重要な施策です。一つひとつ丁寧に対応することで、サイトの評価をさらに高めていきましょう。

1. URLの正規化(canonicalタグ)

Webサイトを運営していると、意図せず内容が重複・類似したページが複数生成されてしまうことがあります。

例えば、ECサイトで同じ商品を色違いで別URLで管理している場合や、PC用とスマホ用でURLが異なる場合、広告効果測定用のパラメータが付与されたURLなどです。

これらのページを放置すると、Googleからの評価がそれぞれのURLに分散してしまったり、重複コンテンツとしてサイト全体の評価を下げてしまったりするリスクがあります。

そこで重要になるのが「URLの正規化」です。

rel="canonical"というHTMLタグを使い、「このページ群の中で、こちらのURLを正規(オリジナル)ページとして評価してください」とGoogleに明示的に伝えることができます。

正規化を行いたいページの<head>セクションに、<link rel="canonical" href="正規ページのURL">のように記述することで、複数の類似ページに向けられたSEO評価を、指定した一つのURLに集約させることが可能になります。

これは、サイトの価値を正しくGoogleに伝え、評価の分散を防ぐための必須の知識です。

特にデータベース型サイトでは、URLの正規化が適切に行われているかどうかが、SEOの成果を大きく左右します。

2. 構造化データマークアップ

構造化データマークアップとは、ページに書かれている情報が「何であるか」を、検索エンジンが理解しやすい共通の言語(スキーマ)で記述することです。

例えば、ページ上に「株式会社torif」と書かれていても、それが「企業名」なのか、単なるテキストなのかをクローラーは100%正確に判断できません。

そこで、構造化データを使って「これは組織名です」「これは住所です」「これは電話番号です」といったように、一つひとつの情報に意味のタグ付けをしてあげるのです。

これにより、Googleはページの内容をより深く、正確に理解できるようになります。

その結果として、検索結果画面で通常よりも多くの情報が表示される「リッチリザルト」の対象になる可能性が高まります。

例えば、レシピサイトであれば調理時間やカロリー、Q&Aサイトであれば質問と回答の一部が検索結果に直接表示されるようになります。

リッチリザルトは、検索結果画面での視認性を高め、クリック率の向上に大きく貢献します。

構造化データには様々な種類があり、パンくずリスト、よくある質問(FAQ)、イベント情報、レビュー評価など、自社のコンテンツに合わせて適切にマークアップすることが、競合サイトとの差別化につながる重要な一手となります。

3. 内部リンク構造の最適化

内部リンクとは、自社サイトのあるページから、別のページへと設置されたリンクのことです。

この内部リンクを戦略的に設計・最適化することは、テクニカルSEOにおいて非常に重要な意味を持ちます。

ユーザーにとっては、関連性の高いページへスムーズに移動できるようになり、サイト内での回遊性が高まることで、滞在時間の増加や離脱率の低下といったメリットがあります。

これは、ユーザー体験の向上に直結します。

一方、Googleのクローラーにとっても、内部リンクはサイトの構造を理解するための重要な道しるべとなります。

リンクを辿ってサイト内を巡回するため、適切に内部リンクが設置されていれば、サイトの奥深くにあるページでも発見しやすくなります。

また、サイト内で多くのページからリンクされているページは、「そのサイト内で重要度が高いページ」であるとGoogleに認識され、評価が高まる傾向があります。

例えば、最も重要なページ(トップページやカテゴリトップなど)へ、関連する下層ページからリンクを集めることで、そのページのSEO評価を意図的に高めることが可能です。

無計画にリンクを貼るのではなく、サイトのテーマ性やページの関連性を考慮しながら、ユーザーとGoogleの両方にとって分かりやすいリンク構造を構築することが求められます。

4. パンくずリストの設置

パンくずリストとは、Webサイトを訪れたユーザーが、今サイト内のどの階層にいるのかを視覚的に示すナビゲーションのことです。

一般的に、ページの上部に「ホーム > カテゴリ名 > 記事タイトル」のように階層順で表示されます。

この名前は、童話『ヘンゼルとグレーテル』で、主人公が森で迷わないようにパンくずを置いていった話に由来します。

パンくずリストを設置することには、ユーザーと検索エンジンの両方にとって大きなメリットがあります。

ユーザーは、自分がサイトのどこにいるかを一目で把握できるため、サイト構造を理解しやすくなります。

また、上位の階層(カテゴリトップなど)へ簡単に戻ることができるため、サイト内の回遊性向上にもつながります。

一方、検索エンジンにとっても、パンくずリストはサイトの階層構造を正確に理解するための重要な手がかりとなります。

クローラーがサイトの構造を正しく認識することは、各ページのテーマ性や重要度を判断する上で役立ち、結果としてSEO評価の向上に貢献します。

さらに、適切に構造化データを使ってパンくずリストをマークアップすれば、検索結果画面のURL部分にページの階層が表示されるようになり、ユーザーに対してより分かりやすく情報を提示することが可能です。

特に階層が深くなりがちな大規模サイトにおいて、パンくずリストはユーザビリティとクローラビリティを両立させるための基本的な施策と言えるでしょう。

5. ページ表示速度の改善(Core Web Vitals)

ページの表示速度は、ユーザー体験を左右する最も重要な要素の一つです。

読みたいページがなかなか表示されなかったり、画像がゆっくりとしか読み込まれなかったりすると、多くのユーザーは待ちきれずに離脱してしまいます。

Googleもこの点を非常に重視しており、「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」という、ユーザー体験の質を測るための3つの指標をランキング要因に組み込んでいます。

指標概要目安
LCP主要なコンテンツが読み込まれるまでの時間2.5秒未満
FIDユーザーが最初のアクションを起こしてから、ブラウザが応答するまでの時間100ミリ秒未満
CLSページの読み込み中にレイアウトがどれだけズレるか0.1未満

これらの指標は、Googleサーチコンソールの「ウェブに関する主な指標」レポートや、「PageSpeed Insights」というツールで誰でも簡単に計測できます。

もしサイトのスコアが低い場合は、ツールが提示してくれる改善案(「画像を最適化してください」「使用していないJavaScriptを削除してください」など)を参考に、一つひとつ対策を講じていく必要があります。

具体的な施策としては、画像サイズの圧縮、サーバーの応答速度の改善、ブラウザのキャッシュ機能の活用などが挙げられます。

ページの表示速度を改善することは、ユーザーの離脱率を下げ、満足度を高めるだけでなく、Googleからの評価を直接的に向上させる、効果の高いテクニカルSEO施策なのです。

Core Web Vitals と Google 検索の検索結果について
Core Web Vitals は、ページの読み込みパフォーマンス、インタラクティブ性、視覚的安定性に関する実際のユーザー エクスペリエンスを測定する一連の指標です。検索結果でのランキングを上げ、全般的に優れたユーザー エクスペリエンスを提供できるよう、サイト所有者の皆様には、Core Web Vitals を改善することを強くおすすめします。


引用:Core Web Vitals と Google 検索の検索結果について | Google 検索セントラル

6. 404エラーページの最適化

404エラーページ(Not Found)とは、ユーザーがアクセスしようとしたURLのページが存在しない場合に表示されるページのことです。

削除されたページへのリンクや、URLの入力ミスなどが原因で表示されます。

デフォルトの「404 Not Found」という無機質なページが表示されるだけでは、ユーザーは「このサイトは壊れているのかもしれない」と感じ、そのままサイトを離脱してしまう可能性が高いです。

これを防ぐために、オリジナルの404ページを作成し、ユーザーを適切に案内することが重要になります。

最適化された404ページには、まず「お探しのページが見つかりませんでした」というメッセージを明確に表示します。

その上で、サイトのトップページへのリンクや、サイト内検索のフォーム、主要なカテゴリへのリンクなどを設置することで、ユーザーが次に取るべき行動を促し、サイト内に留まってもらう可能性を高めることができます。

サイトのデザインとトーン&マナーを他のページと統一することも、ユーザーに安心感を与える上で効果的です。

404エラーは、外部リンクやサイト内リンクの管理を徹底していても、完全になくすことは難しいものです。

予期せぬエラーが発生した際に、ユーザーをがっかりさせず、サイト内を回遊してもらうための次善策として、親切な404ページを用意しておくことは、ユーザー体験を考慮した重要なおもてなしの一つです。

7. リダイレクトの適切な設定

リダイレクトとは、特定のURLにアクセスしたユーザーを、自動的に別のURLへ転送する仕組みのことです。

サイトをリニューアルしてURL構造が大幅に変わった場合や、ドメイン(サイトの住所)を移転した場合、あるいはページのURLをより分かりやすいものに変更した場合などに使用します。

リダイレクト設定が重要なのは、ユーザーと検索エンジンの両方に対して、ページの新しい場所を正しく伝えるためです。

もし設定を行わないと、古いURLにアクセスしたユーザーは404エラーページにたどり着いてしまい、サイトから離脱してしまいます。

また、検索エンジンも新しいページの存在に気づくのが遅れたり、古いURLが蓄積してきたSEO評価(被リンクなど)が新しいURLに引き継がれなかったりする恐れがあります。

リダイレクトにはいくつか種類がありますが、SEOにおいて最も一般的に使われるのは「301リダイレクト」です。

これは、「ページが恒久的に(完全に)移動した」ことを示すステータスコードであり、設定することで、古いURLが持っていたSEO評価のほとんどを新しいURLに引き継ぐことができるとされています。

サイトのメンテナンスや改善を行う上で、リダイレクトは避けて通れない技術です。

ユーザーを迷わせず、これまでのSEO資産を無駄にしないためにも、URLを変更する際には必ず301リダイレクトを適切に設定するよう徹底しましょう。

8. 画像の最適化(altタグ、ファイルサイズ)

記事やページ内で使用する画像も、テクニカルSEOの観点から最適化すべき重要な要素です。

最適化のポイントは大きく2つあります。1つ目は「altタグ(代替テキスト)の設定」です。

altタグは、何らかの理由で画像が表示されなかった場合に、その画像の代わりに表示されるテキストのことです。

また、目の不自由な方が利用するスクリーンリーダー(音声読み上げソフト)は、このaltタグの内容を読み上げることで、画像の内容を伝えます。

SEOの観点では、Googleのクローラーが画像の内容を理解するための重要な手がかりとなります。

例えば、alt="夕日に照らされる東京タワー"のように、画像の内容を具体的かつ簡潔に記述することで、Google画像検索で上位に表示される可能性も高まります。

2つ目のポイントは「ファイルサイズの圧縮」です。

高画質な画像はファイルサイズが大きくなりがちで、ページの表示速度を低下させる主な原因となります。

ユーザーにストレスを与えないためにも、画像をアップロードする前には、画質を損なわない範囲で専用のツール(Squooshなど)を使ってファイルサイズを圧縮することが不可欠です。

画像の最適化は、ユーザビリティ、アクセシビリティ、そしてクローラビリティの全てに貢献する、基本的ながら非常に効果の高い施策です。

【診断リスト】レベル3:【応用】中〜大規模サイトで意識したい5項目

最後に、特にECサイトや不動産ポータル、求人サイトのような、ページ数が数万〜数十万を超える大規模サイトで重要となる、より専門的な施策を紹介します。

これらの項目はサイトの成長に欠かせない、より高度なテクニカルSEOです。

1. クロールバジェットの管理

クロールバジェットとは、Googleのクローラーが一定期間内にサイトをクロールできるリソースの上限(予算)のようなものです。

Googleは、サイトの規模やサーバーの応答速度、更新頻度などに基づいて、各サイトにこの「予算」を割り当てています。

ページ数が少ないサイトではあまり意識する必要はありませんが、大規模サイトでは話が別です。

低品質なページや重複ページ、パラメータが付与されただけのURLなどを大量にクロールさせていると、この貴重な予算を無駄遣いしてしまいます。

その結果、本当に評価してほしい新規ページや、重要なページのクロールが後回しにされ、インデックスされるまでに時間がかかってしまうのです。

クロールバジェットを最適化するためには、これまで紹介したrobots.txtでの不要なページのブロック、URLの正規化、XMLサイトマップの送信といった基本的な施策を徹底することが第一歩となります。

サイトの規模が大きくなればなるほど、クロールの効率を意識したサイト管理が重要になるのです。

2. ログ解析

ログ解析とは、Webサーバーに残されたアクセスログを分析し、Googleのクローラーが「いつ」「どのページに」「どのくらいの頻度で」訪れているのかを正確に把握する作業です。

Googleサーチコンソールでもある程度のクロール状況は確認できますが、ログにはより生々しく、詳細なデータが記録されています。

ログ解析を行うことで、例えば「重要なはずのカテゴリページにクローラーが全く来ていない」「評価の低いページばかり頻繁にクロールされている」といった、サーチコンソールだけでは見えにくい問題を発見できます。

これは、サイトの健康状態を診断するための、いわば「精密検査」のようなものです。

得られたデータをもとに、内部リンクの構造を見直したり、サイトマップの優先度を調整したりすることで、より効果的にクロールを誘導することができます。

ログ解析には専門的な知識が必要ですが、大規模サイトのSEO担当者にとっては、サイトの課題をデータに基づいて特定するための必須スキルと言えるでしょう。

3. JavaScriptレンダリングの最適化

近年、ReactやVue.jsといったJavaScriptのフレームワークを使って、動的でリッチな表現を持つWebサイト(シングルページアプリケーションなど)が増えています。

こうしたサイトでは、ユーザーがアクセスした後にJavaScriptが実行されて、初めてコンテンツが画面に表示される仕組みになっています。

GoogleのクローラーもJavaScriptを解釈し、レンダリング(描画)する能力を持っていますが、その処理には通常のHTMLサイトよりも時間とコストがかかります。

そのため、JavaScriptの実装方法によっては、クローラーがコンテンツを正しく認識できず、結果としてインデックスされなかったり、内容が空っぽのページとして評価されたりするリスクがあります。

これを防ぐためには、「サーバーサイドレンダリング(SSR)」や「ダイナミックレンダリング」といった技術を導入し、クローラーに対してはあらかじめサーバー側で描画したHTMLを返す、といった対応が必要になります。

JavaScriptを多用するモダンなサイトを構築する際は、開発の初期段階からSEOの専門家と連携し、クローラビリティを確保するための設計を行うことが不可欠です。

4. 多言語・多地域対応(hreflang)

hreflang(エイチレフ・ラング)タグは、同じコンテンツを複数の言語や、異なる国・地域向けに提供している場合に使用するHTML属性です。

例えば、日本語版ページと英語版ページ、あるいは日本のユーザー向けのページとアメリカのユーザー向けのページがそれぞれ存在する場合に、このタグを使って各ページの言語と対象地域をGoogleに伝えます。

hreflangを正しく設定することで、Googleはユーザーの言語設定や現在地に応じて、最も適切なページを検索結果に表示できるようになります。

例えば、アメリカから英語で検索したユーザーには英語版ページを、日本から日本語で検索したユーザーには日本語版ページを表示する、といった出し分けが可能になります。

これにより、ユーザーは自分に最適な言語のページに直接アクセスできるため、ユーザー体験が向上します。

また、各言語のページが重複コンテンツとして評価されるのを防ぐ効果もあります。

グローバルに事業を展開するサイトにとって、hreflangはユーザーとGoogleに適切な情報を届けるための重要なシグナルとなります。

5. ページネーションの最適化

ページネーションとは、ブログの一覧ページやECサイトの商品一覧ページなどで、コンテンツが複数ページにわたる場合に表示される「1, 2, 3, … 次へ」といったページ送りのナビゲーションのことです。

これらのページは内容が類似しやすいため、Googleに「重複コンテンツ」や「品質の低いページ」と判断されてしまうリスクがあります。

かつてGoogleはrel="next/prev"というHTMLタグを推奨していましたが、現在ではこのタグをサポートしていません。

そのため、ページネーションの最適化には、より慎重な対応が求められます。

現在のベストプラクティスとしては、まず各ページ(2ページ目、3ページ目…)が固有の価値を持つように、titleタグやmeta descriptionをユニークに設定することが挙げられます。

その上で、全てのアイテムを1ページで表示する「すべて表示」ページを用意し、各ページからその「すべて表示」ページに向けてcanonicalタグを設定する方法があります。

あるいは、2ページ目以降にはnoindexタグを設定し、インデックス対象を1ページ目に集約させるという考え方もあります。

どの手法が最適かはサイトの特性によりますが、ページネーションを持つサイトは、その取り扱い方を明確に定義しておく必要があります。

テクニカルSEOに役立つ必須ツール3選

テクニカルSEOの現状把握や問題点の発見には、専門的なツールが欠かせません。ここでは、無料で使える必須ツールを3つ紹介します。

  • Googleサーチコンソール
    サイトのインデックス状況や検索パフォーマンス、技術的な問題点をGoogleが直接教えてくれる、サイト運営者にとって最も重要なツールです。
  • PageSpeed Insights
    ページの表示速度をPC・スマホ別にスコアで評価し、具体的な改善点を指摘してくれます。
  • Screaming Frog SEO Spider
    サイト全体をクローリングし、リンク切れやリダイレクト、重複コンテンツといった技術的な問題点を網羅的に洗い出せる高機能なツールです。500URLまでなら無料で利用できます。

まとめ:テクニカルSEOは「おもてなし」の土台づくり

テクニカルSEOは、一見すると専門用語が多く難しく感じられるかもしれません。

しかし、その本質は、届けたい情報を、届けたい相手(ユーザーとGoogle)に、スムーズかつ正確に受け取ってもらうための「おもてなしの土台づくり」です。

まずはこの記事で紹介した「レベル1」の5項目から、Googleサーチコンソールを使ってご自身のサイトをチェックしてみてください。サイトの健康状態を把握することが、全ての改善のスタートラインです。

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この記事を書いた人

フリーランスとして活動中です。得意分野はSEO / コンテンツマーケ / Webマーケティング。(SEO歴6年)。主にフリーランス、ブログ運営に関する情報を発信していきます。

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